皮膚科専門医テキスト

第1部 皮膚科学総論
第2部 皮膚科学各論(湿疹・皮膚炎群;紅皮症;物理的、化学的皮膚障害;紅斑症、毛細血管拡張症 ほか)
《内容》
皮膚科専門医をめざす医師のためのガイドブック.基礎から臨床までをすべて網羅した皮膚科学辞典的内容を併せもった他に類を見ない専門書.第1部の総論で「皮膚の構造と機能・病態生理」,「診断・検査」,「治療学」を扱い,第2部の各論で各疾患を解説.初版の第1部「一般医学」を省き,皮膚科固有の領域の記述を拡充した.執筆者の交代も含め,最新の情報を提供する全面改訂版.

【主要目次】
■第1部 皮膚科学総論
第1章 皮膚の構造と機能,病態生理
表皮/表皮真皮境界部/真皮/皮下脂肪組織/皮膚付属器/皮膚の免疫学/皮膚発癌/光と皮膚/皮膚遺伝学/HLA/皮膚の感染症論/創傷治癒とサイトカイン類
第2章 皮膚疾患の診断,検査
一般診断学/発疹学/病理組織学/免疫病理組織学/電子顕微鏡的検査法/一般検査法/アレルギー検査法/皮膚科検査法
第3章 皮膚疾患治療学
ステロイド外用療法/抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬/光線療法/化学療法/皮膚外科/レーザー治療

■第2部 皮膚科学各論
第1章 湿疹・皮膚炎群
総論/各論
第2章 紅皮症
第3章 蕁麻疹,痒疹,皮膚そう痒症
蕁麻疹/痒疹/皮膚そう痒症
第4章 物理的,化学的皮膚障害
日光による皮膚障害/温熱および赤外線による皮膚障害/放射線による皮膚障害/機械的刺激による皮膚障害/熱傷/寒冷による皮膚障害/化学薬品による皮膚障害
第5章 紅斑症,毛細血管拡張症
環状紅斑/浮腫性浸潤性紅斑/その他の紅斑/毛細血管拡張症
第6章 紫斑
血液異常による紫斑/血管支持組織の脆弱化による紫斑/血管炎による紫斑/angiodermatitis/その他の紫斑
第7章 血管・リンパ管系疾患
血管炎(vasculitis,angitis)/血管障害(vasculopathy)/リンパ管性疾患
第8章 水疱症,膿疱性疾患
水疱症/膿疱性疾患
第9章 膠原病とその類症
膠原病膠原病類症
第10章 肉芽腫症(非感染性)
第11章 軟部組織疾患
皮下脂肪組織の疾患/筋膜の疾患
第12章 薬疹,中毒疹
第13章 代謝異常症,沈着症
タンパク質代謝異常症/結合組織代謝異常症/アミノ酸代謝異常症/核酸代謝異常症/脂質・糖代謝異常症/生体色素沈着症/ビタミン欠乏症/無機物質代謝異常症
第14章 皮膚萎縮症,形成異常症,穿孔性皮膚症
皮膚萎縮症/形成異常症/穿孔性皮膚症
第15章 角化症
遺伝性角化症/非遺伝性角化症
第16章 炎症性角化症
乾癬/類乾癬/扁平苔癬/扁平苔癬の類症
第17章 色素異常症
色素異常症の概念と発症病理/色素増加症/色素脱失症
第18章 母斑,母斑症
総論/上皮性母斑/神経堤起源性母斑/血管性母斑/結合組織母斑/その他の母斑/母斑症
第19章 皮膚腫瘍
上皮性良性腫瘍/前癌症および偽癌/上皮性悪性腫瘍/神経節起源性腫瘍/間葉系良性腫瘍/偽リンパ腫/間葉系悪性腫瘍/皮膚悪性リンパ腫/その他の間葉系腫瘍
第20章 感染症
ウイルス性皮膚疾患/クラミジア感染症マイコプラズマ感染症/細菌性皮膚感染症/リケッチア感染症スピロヘータ感染症/真菌感染症寄生虫症,動物性皮膚症/性感染症(STD)
第21章 付属器疾患
総論/エクリン汗腺疾患/アポクリン汗腺疾患/脂腺疾患/毛髪疾患/爪の疾患
第22章 粘膜疾患
粘膜疾患の概念と種類/紅斑,びらん,および出血/潰瘍/白板症/色素沈着/舌病変/歯肉病変/感染症によるもの/外陰部病変/腫瘍/唾液線の病変
第23章 遺伝性皮膚疾患
表皮形成異常症/結合組織性疾患/脈管系疾患
第24章 新生児・乳児皮膚疾患
新生児,乳児の皮膚の概念と特徴/感染症/紅斑,水疱/角化症/硬化症,浮腫/分泌異常/毛髪異常/血管腫,リンパ管腫/色素異常/皮膚奇形/母斑症/腫瘍/その他
第25章 全身と皮膚
皮膚と内臓悪性腫瘍/皮膚と糖尿病/皮膚と内分泌/皮膚と妊娠/皮膚と消化管/皮膚と肝臓/皮膚と肺/皮膚と心臓/皮膚と腎臓/皮膚と骨髄,リンパ節,血液/皮膚と神経系
第26章 職業性皮膚疾患
概念と種類/各種産業における主要職業性皮膚疾患
第27章 心身症と皮膚疾患

【序文】
この皮膚科専門医テキストの初版(朝田康夫,森 俊二,植木宏明編集,1991年)が刊行されてから,ちょうど10年が経過した.その間,全国の皮膚科専門医を志す皮膚科医やすでに専門医となった方々,あるいは内科などの関連領域の方々を中心に,本書は広く利用され,愛読されてきたようである.
 一方,この10年の間に各臨床専門医制度は社会的にも定着した感があり,各々の専門学会での認定医,専門医,更に指導医も増加してきた.また,わが国の社会の専門医へのニーズも高まってきた.本書は10年前に,より新しくかつよりレベルアップされた専門医の育成を目標に,全国の各々の領域のエキスパートから原稿をお願いして刊行されたわけであるが,当然のことながら,この10年の間に,医学の進歩と同時に医療を取り囲む社会環境も大きく変貌し,日本人の健康に対する意識やニーズも変わり,一方では医学,医療に対する要求も厳しくなってきた.皮膚科学,皮膚科診療についても同様であり,本書は広く皮膚科学および境界領域をも十分にカバーすべく,新たに多くの教授陣や新進気鋭の専門医の協力を得て改訂された.
 改訂に際しては,新しい内容を限られた紙面に盛り込むために,皮膚科医としての医学基盤としては重要ではあるが,総合診療科領域をはじめ,内科や関連他科領域固有の内容は割愛させて頂いた.総合診療科をはじめ臨床各科の変貌も大きいことなどから,皮膚科に関係する点については本文中に登場する疾患の項目の中で具体的に触れて頂くことにした.従って,皮膚科学の総論,各論の内容は初版に比して最新の情報を加えて数段に充実してきたと自負できる.特に,遺伝学,免疫学,分子生物学領域の進歩,さらに新しい治療法がすべての皮膚科学領域で導入されていることなどを反映した内容となっている.更に,本書は広く世界の皮膚科学を視野に入れながら,日本人にあった日本人の専門的教本を目標とし,それを原点とした.また,多数の参考文献も収載されており,利用価値も高いと思われる.疾患の臨床像や組織像の写真は前回同様に割愛させて頂いた.これらについてはわが国でも,既に専門的な優れた図譜や教本が多数出版され,普及しており,それらを参考にして欲しい.
 本書を皮膚科専門医およびこれから専門医を目指す若手皮膚科医の座右の書として活用して頂ければ幸いである.一方,皮膚科医以外の方々においても最新の情報や考え方が分かり,辞書的にも十分に利用でさる.本書を単なる知識や情報源としてのみでなく,悩める患者の診療に役立てるべく,有効に十分に活用して欲しいと願いつつ,改訂版の序に代えたい.
2002年3月
編集者一同
(一部改変)
定価 44,100円 (本体42,000円+税)
ISBN 978-4-524-21723-6
発行年月 2002年06月
判型 B5
ページ数 1162

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